WordPressとMovable Typeの比較について

少しご無沙汰してしまいました、WEBデザイナーのKです。

今回はWordPressについて少しお話したいと思います。今でこそ、WordPressもかなり浸透し、こちらがご提案する前にお客様の方からWordPressで制作してくださいと仰られることも少なくありません。また、すでにお持ちの自社ホームページがすでにWordPressで制作されており、そのWordPressで構築されているサイトのリニューアルを依頼されることも多いです。

そこで今回はWordPressともう一つのCMSとして有名なMovable Type（ムーバブルタイプ）について比較をしてみたいと思います。

その前にCMSについて説明します。

最近よく聞くCMSとは

CMSとは「コンテンツ管理システム」の略で、端的にいえばウェブサイトを簡単に作ったり、管理したりするためのツールのことです。WordPressはその中でも特に有名なCMSの一つです。

普通、ウェブサイトを作るときは、HTMLやCSSといったプログラミング言語を使って、一から全てを作り上げる必要があります。でも、CMSを使うと、そういった複雑なコードを一つ一つ書くことなく、ウェブサイトを作ることができます。それは、CMSがあらかじめたくさんのテンプレート（ある種のひな形）や機能を持っているからです。これらを組み合わせることで、ニュースサイトからブログ、オンラインショップまで、いろいろな種類のウェブサイトを作ることが可能になります。

例えば、ブログを書きたいと思ったら、WordPressを使うと、記事を書くためのページに直接タイトルや本文を入力して、写真をアップロードするだけで、簡単にブログ記事を公開することができます。また、デザインを変更したい時も、好きなテーマを選んでクリックするだけで、サイトの見た目を一新することができます。

CMSの素晴らしい点は、プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単に記事を書いたり、更新したりできることです。それに、世界中で多くの人が使っているため、困った時にはインターネットで検索すれば、解決策を見つけることができます。

代表的なサイト制作ツール、WordPressとMovable Type

WordPressとMovable Typeは、長年にわたりブログやウェブサイト制作の分野で競い合ってきた2大CMS（コンテンツ管理システム）です。両者ともに強力な機能を持っており、ユーザーのニーズに応じてさまざまなウェブサイトを構築することができます。しかし、特にホームページ制作会社の立場の視点から見ると、WordPressが多くの点でMovable Typeを上回っていると言えます。以下に、その理由をいくつか挙げてみましょう。

1. ユーザーベースとコミュニティ

WordPressは世界で最も広く使用されているCMSであり、そのユーザーベースは非常に大きいです。これにより、豊富なプラグイン、テーマ、およびサードパーティのリソースが提供されています。また、ユーザーコミュニティも非常に活発で、オンラインフォーラムやSNSを通じてサポートを受けることができます。一方、Movable Typeも長い歴史を持ち、熱心なユーザーがいますが、その規模と活動の範囲はWordPressに比べると小さいです。

2. 拡張性とカスタマイズ

WordPressはプラグインアーキテクチャとテーマシステムにより、非常に高いカスタマイズ性を実現しています。数万に及ぶプラグインとテーマがWordPress.orgの公式ディレクトリにあるため、機能追加やデザインの変更が容易です。これに対して、Movable Typeもカスタマイズは可能ですが、利用可能なプラグインやテーマの数が少なく、多様なニーズに応えるのが難しい場合があります。

3. 利便性と使いやすさ

WordPressは使いやすさを最優先に設計されています。インストールが簡単で、直感的な管理ダッシュボードを提供しているため、初心者でもすぐにウェブサイトの構築と管理を始めることができます。Movable Typeもユーザーフレンドリーな面がありますが、WordPressほどの直感性や学習リソースの豊富さには欠けます。

4. SEO対策

WordPressはSEOに強いという特徴があります。標準機能だけでも基本的なSEO対策が施されていますが、Yoast SEOのようなプラグインを使うことで、さらに詳細な最適化が可能になります。Movable TypeもSEO機能を備えていますが、WordPressほど簡単に高度な最適化を行うことは難しいかもしれません。

5.ライセンス体系とコスト

ウェブサイト制作を行う際、制作会社としてはコスト効率とクライアントの利便性を常に考慮する必要があります。この観点からCMSの選択を考えると、WordPressとMovable Typeの間には明確な違いがあります。

WordPressはその利用が完全に無料である点が大きな魅力です。オープンソースとして提供されているため、商用利用を含めて誰でも追加費用なしで利用できます。これにより、初期のウェブサイト構築費用を抑えることが可能となり、特に予算に限りのあるプロジェクトやスタートアップ企業には理想的な選択肢となります。

一方で、Movable Typeは商用利用に際してライセンス料が必要となります。その費用はプロジェクトの規模や要求される機能に応じて異なりますが、このライセンス料は特に中小企業や予算に制約のあるクライアントにとって大きな負担となることがあります。さらに、将来的なサイトの拡張やカスタマイズが必要になった場合、追加のコストが発生する可能性もあります。

ちなみにMovable Typeの年間利用料はプランによって異なりますが、27,500円～825,000円まであります。あくまでも個人的な意見ですが、WordPressであれば無料で使えるシステムにここまで費用を掛ける必然性が見当たらないため、費用面だけでいってもMovable Typeを利用する必要はないと思っています。

リアライズが出したWordPressとMovable Typeに対する結論

制作会社の立場からすると、WordPressはその使いやすさ、拡張性、強力なコミュニティサポートにより、Movable Typeよりも圧倒的に優位に立っています。クライアントの多様な要望に応えることができる柔軟性と、迅速なプロジェクト実施能力を考えると、WordPressを選択するのが賢明な選択と言えるでしょう。上にも書いた通り、年間のライセンス契約が必要ないのもメリットの一つです。

WordPressは、2023年にグローバルCMS市場の63.1%のシェアを持つとともに、約3800万のライブサイトで使用されていると報告されています。これは、すべてのウェブサイトの中で、43.2%がWordPressを利用していることを意味します。Movable Typeの数値的なデータは見当たりませんでしたが、CMSといっても世の中にはたくさんのものがあります。そのなかで6割以上のシェアを占め、世の中のサイト数すてべの中でも4割以上のシェアをWordPressが占めるわけですから恐らくMovable Typeで作られたサイトの割合は3％以下ではないかと思います。

職業柄、パソコンからサイトを見たときに右クリックでソースコードを見る癖がありますが（ソースコードを見るとそのサイトがどのようなシステムで出来ているのか分かります）、Movable Typeで出来たサイトに出会う頻度が殆どありません。感覚的には皆無といっても差し支えないレベルです。つまり、ウェブサイトの総数といった場合、そこには検索してもヒットしないサイトも含まれるため、過去に作ったはいいが放置されているサイトもあります。

しかしながら、現実的に重要なものは検索をして上位に表示されているサイトです。放置されているサイトは誰からも見られないのですから意味がありません。そういう点でいえば一般的に検索して見つかるサイトの7割程度がWordPressで出来ているとの実感があります。特に中小企業の自社サイトの8割はWordPress出来ているのではないかと思うぐらいです。もちろん実感であり、実際にサイト数を数えたわけではありませんがそれでもWordPressが浸透しているのは明らかです。

リアライズの方針としましてはネットショップなど特別な事例を除き、自社ホームページを制作する場合は原則WordPress一択です。ホームページを集客やカスタマーサポート（CS）に使う場合は日々の更新が重要になってきます。簡単にあまりサイト構築に詳しくない人でもメールを書くように記事を更新する必要があります。そんなときでもWordPressなどのCMSであれば制作会社に頼らず、即記事のアップロードが可能です。

カスタマイズの自由度、ライセンス料金不要、記事更新の簡便さ、その他もろもろを加味してもやはりWordPressが一番おすすめには変わりありません。この先、もっと優れたツールが開発されれば別ですが、現時点においてホームページ制作をお考えであればWordPressを使うことで間違いはありません。